Borough into the Lens

デザインリサーチ, コンセプトメイキング (class of London Calling at Royal College of Art and Imperial College London, 2021)
見慣れた市場を冒険するには?
ロンドン・サウスワークに1000年の歴史を持つマーケット「バラ市場」。国内外の様々な場所から食材の集まるフードマーケットとして有名で、地元客から観光客まで多くの人で賑わう市場です。そんな市場の利用者へのインタビューを通し、様々な文化が入り混じる活況と多国籍な食べものの数々が他にはないこの場所の魅力だと分かりました。しかし訪れる人の実際の行動経路について尋ねると、想像できる味のみを購入したり、特定のエリアのみを見るなど「保守的な行動」をとっていることが明らかに。コロナ後に試食が減った今、聞き覚えのない新しい味に挑戦する体験をどう再デザインできるだろうか?そんな疑問に基づき、市場を新しい視点で体験できる「遊び心」のある「なりきりキャンディー」と共に見慣れた場所を冒険してもらうツールを制作しました。
参加者の「冒険」の結果はインスタグラムアカウントにて公開しています。詳しくは、上の画像をクリック!
How might we break a bubble to try new tastes in a playful way?
リサーチフェーズ
3週間のフィールドワーク・利用者へのインタビューと他のマーケットとの比較分析により、様々な文化が入り混じる活況と多国籍な食べものといった文化的多様性こそが、人々が期待するこの市場の最大の魅力だと分かりました。しかし、利用者の行動をマップで示した調査では、特定のエリアに足を運び、予想のつかない新しい味や土産品には挑戦しないなど、多様性の一部のみしか体験できていないことが分かりました。結果、特に混雑する土曜日のマーケットでは、特定の店に行列ができてしまい、列が短い・見た目が悪くはない、などの消極的な理由で、馴染みのない食べものが選ばれていることが分かりました。
コロナの影響で試食という体験が限られた今、マーケットの多様性に触れる「遊び心」ある体験をどのように作れるでしょうか?
A frame for mundane explorers

日常を冒険する「なりきりキャンディー」

い、幼い頃、スーパーヒーローや空飛ぶ鳥に憧れて、その視点から町を見たらどう見えるか?を考えたことは誰しもあるはずです。そんな子どものような「遊び心」で、新しいモノ・コトを市場で自然に見出し、身についた心地よい視点を少しずらすツールとして「なりきりキャンディー」を制作しました。ハリーポッターやピカチュウ、小人や調香師など、自分以外の別のキャラクターに「なりきる」ことを通して市場を探検してもらい、多様性を楽しむ態度を涵養するデザインです。今回は、試食が少なく混雑する市場で手にとってもらうため、手軽なスナックになるキャンディーに「もしもあなたがハリーポッターだったら何を食べる?」「もしもあなたがゴッホだったらどの野菜をモチーフに選ぶ?」といった質問を巻きつけて手にとってもらい、instagramにて反応を集めました。このイベントでは多くの反応が集まり、ローカルの男性からは「今まで見たことのない探し方をでき、今度から街の歩き方が変わりそうだ」という意見ももらいました。